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■子ども虐待の防止策を生み出す7冊の名著

 子ども虐待とその防止策を考えるうえで、基礎知識としてふまえてほしい本を、以下の通り、7冊選んでみた。
 どれも、子どもの虐待死に胸を痛めている方へ、読んでほしい本だ。

 できれば、全国の本屋さんでも特設コーナーを作って陳列してほしいし、図書館でも受付前に並べてほしい。
 それでも手近にないのなら、Amazonで買って読もう。
 現実をふまえない的外れな防止策を政府に作らせないためにも。

 では、ランダムに紹介していこう。
 (※表紙の画像をクリックすると、Amazonへ飛べる)

■Create Media・編
『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(dZERO)

 親から虐待された10~50代の100人が、「親への手紙」というスタイルで自分が受けた虐待の苦しみについて勇気をふり絞って告白した公募手紙集。
 児童福祉の専門家が30年間も虐待防止策に失敗し続けているのに対し、虐待されても生き残ってこれたサバイバーたちは、何が虐待防止にとって必要なのかをわかりやすく具体的に教えてくれる。
 彼らサバイバー当事者の声を無視していては、有効な防止策は今後も作れないだろう。

■アリス・ミラー・著 
『魂の殺人 親は子どもに何をしたか』(新曜社)

 ナチスドイツを率いて世界を支配する戦争をおこし、ユダヤ人を虐殺したヒトラーの生い立ちを精神分析で検証した本。
 親が子どもを恐怖と不安で服従させると、やがて平気で他人を支配する大人に育つ構図を浮き彫りにした世界的ベストセラーになっている。
 子ども虐待を語るうえで、この本の存在を知らないのはモグリ。
 併せて、安倍総理の生い立ちに書かれた本を読むと、ヒトラーの生い立ちとひどく似ていることに気づかされ、戦慄するだろう。
 子育ては、親だけでの問題ではなく、社会全体にとって恐ろしい化け物に仕立て上げることになりかねない危険なものかもしれない。

■信田さよ子・著
母が重くてたまらない
 ―墓守娘の嘆き』(春秋社)

 80年代に依存症を研究し、90年代から精力的な執筆・講演の活動を通じて精神病と子ども虐待との相関を論じてきた臨床心理士の著書。
 臨床の現場をふまえた論理は実に明快で、今日では母娘関係に悩む女性を中心に多くの支持者を獲得している。
 信田さんの著書の中では、『アディクションアプローチーもう一つの家族援助論』(医学書院)も名著。男性の臨床家では書けない文脈に、信田さんの物書きとしての凄みと家族問題に向き合う覚悟が見える。

■山脇由貴子・著
告発 児童相談所が子供を殺す 』(文春新書) 

 虐待通告しても、児童相談所が子どもを保護できない事情を、現場で19年間も働いた著者が告発した内容。
 心愛さん(10歳)の虐待死事件でテレビや新聞にひっぱりだこのコメンテーターになってしまったが、10年勤続の職員が4人に1人しかいない児相の現場でその倍の年数も働いた経験による証言はきわめて貴重といえる。
 子どもにとって「最後のセーフティネット」である児童相談所の限界を赤裸々に描写していることは、児相の予算不足の問題を解決しても、親による虐待を防げないことを示唆している。
 結局は、親権を父母に独占させていることが致命的な問題だと気づかされる。誰もが親権者になれるか、子どもが親を選べる権利を持たない限り、虐待は防げないまま。
 その深刻な現実を浮き彫りにする1冊といえる。

■東小雪・著
なかったことにしたくない
 実父から性虐待を受けた私の告白』(講談社)

 虐待の4タイプの中でも、性的虐待は、児童相談所への相談では少ないとされている。だが、それは被害当事者である未成年にとって相談しにくいため、統計上は暗数になっているからだ。
 そのため、親から性的虐待を受けている当事者は、大人になっても、ますます秘密にせざるを得ない。親友や恋人にも、事実を言えば、交際を断たれてしまう恐れがあるからだ。
 この著者はそうした恐れを抱きながらも、勇気をふり絞って自分に起こったことを公開した。同じ境遇にいる人には、勇気を分かち合える1冊といえるだろう。

■押見修造・著
『血の轍』(小学館ビックコミックス)

 『ビッグコミックスペリオール』で2017年から連載中のマンガだが、日常の中で少しずつ狂っていく母親を描くサイコ・サスペンス風味が、読者の親子関係にも疑いを投げかける。
 親権者がどんなに不気味に精神を病んでいこうが、その子どもは親権者を変える権利をもっていない。それどころか、児童相談所に保護を求めようにも、児童相談所の存在や限界すら誰からも教えてもらえない。
 そのために、今日も明日もずっと恐ろしい親と同じ家という密室の中で、ガマンだけを強いられてしまう。
 あなたがそんな環境を強いられたら、耐えられるだろうか? 僕には絶対に無理だ。それでも、日本の子どもは耐えざるを得ない。その恐ろしさを絵の力で伝えられる力量が、このマンガ家にはある。

■クラウディア・ブラック・著
私は親のようにならない
 ―嗜癖問題とその子どもたちへの影響』(誠信書房

 「あんな親にはなりたくない」と強く願う子どもでも、自分と同じ親と同じようになってしまうメカニズムをわかりやすく解説した本。
 依存症と親子関係をふまたうえで、「負の連鎖」を断ち切るための実践的なアドバイスが収録されている。
 なお、訳は、アディクション(依存症、嗜癖)研究の第一人者である精神科医の斎藤学が担当している。
 自分は親に支配されてこなかったと思っていた読者も、まんまと支配のワナにはまっていたことを自覚するかもしれない。

 以上7冊の1冊でもいいから読んでみてほしい。
 あなたが「親の愛」だと勘違いしていたのは、ただの支配欲求かもしれない。
 あなたが「親心」だと妄信し続けてきたのは、親にとってのみ都合の良い論理かもね。

 自分自身の生い立ちを見つめ直せば、自分が親になった時に「ああ、これは子どもの頃に自分が親からされてイヤだったことだ!」と気づくかもしれない。
 それこそが、親である人が自分自身の虐待を止められる一つの突破口になる。
 あなたもブログを書いているなら、ぜひ虐待防止策を考えられる本を紹介してみよう!



●虐待サバイバーは、全国各地で声を上げ始めている!

 これを書いている間に、朝日新聞に昨年12月に大阪で虐待防止策のイベントをやった時の記事が出た。
 これは、親から虐待されても必死で生き残ってきたサバイバーを中心に集まるイベントだ。
 今年も、虐待相談の件数ワースト1の大阪で防止策を考えるイベントはやりたい。
 主催者チームは、2月11日(月)午後1時からカフェでミーティングをやるそうだ。
 詳細は、ヤマシロさんのtwitterへ問い合わせてみてほしい。
朝日新聞の記事より

 また、こうした虐待サバイバーによる集まりは、全国各地で試みられ始めている。
 神戸の野添まゆ子さんは、自身が毒親であったことを反省し、「毒親短歌お茶会」を始める。
 筆記具は持参で、飲食代のみで参加でき、短歌の知識もいらない。
 お茶を飲みに来るだけでもOKだ。
 この「毒親短歌お茶会」は2月24日(日)朝10時、風見鶏本舗 北野坂店で開催。
 お問い合わせは、野添さんのtwitterまで。

 また、北海道の小樽市では、友人秋野恵美子さんが、3月2日(土)午後2時から小樽市公会堂第1集会室で日本一醜い手紙の朗読会を行う。
 これは入場無料で、予約なしで参加できる。
 facebookでしか宣伝してないので少人数になるかもしれないけど、できれば友人・知人をネット上で誘い合って参加してみてほしい。
 田舎の小樽で、親から虐待されてきた苦しみを肯定してくれる貴重なチャンスだと思うから。

 さらに、昨年の『日本一醜い親への手紙』のキャンペーンソングに認定したカンザキイオリさんの歌『愛があれば。』がカラオケでも歌えるようになった。おめでとう!

 虐待サバイバーは今、自分の苦しんだ経験を表現に変えている。
 その表現方法は、さまざまだ。
 みんな自分らしく苦しみを吐き出そう。

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