2021年3月9日。
いつか子ども虐待防止の有効な法案が可決・成立する時、この日が出発点だったと記録されるだろう。
この日の夕方5時、衆議院会議室で与党・自民党の若手の国会議員が集まり、「子ども庁」(仮称)の新設を目指す「#ChildrenFirst 勉強会」(第6回)が開催された。
そこに、虐待サバイバーであり、保護司、アドボケイトなども務めるKarma(風間暁)さんが招かれ、児童相談所・社会的養護・子ども庁に関する提言ができたのだ。
この勉強会はこれまで医療従事者・官僚・市長・市民活動家などの「有識者」ばかりが招かれてきたが、親から虐待されても必死に生き残ってきたサバイバ―当事者が招かれたのは史上初。
これは特筆すべき時代の転換点であり、僕が新聞社の社主なら号外を刷って町中でばらまくだろう。
日本の子ども虐待の防止策は、官僚が招いた「有識者」の言い分を政治家が鵜呑みにする形で作られ、30年以上も失敗し続けてきたのだから。
では、なぜ虐待サバイバーを与党の勉強会に招くことができたのか?
そして、風間さんはどんな提言を行い、それを聞いた議員はどう応えたのか?
順を追って、説明していこう。
(※画像はクリックし、拡大して見てください)
※風間さんのプロフィールや履歴は、下記リンクを参照
※活動履歴を含む詳細な紙資料は、下記リンク
2019年、僕(今一生)は、虐待サバイバーが出演し、政治家と議論する『子ども虐待防止策イベント』の地元市民による開催をブログで訴えていた。
そこで、風間さんは僕に連絡をとり、自ら経営する「ごちゃまぜCafeメム」の仲間と一緒に運営チーム「No More Abuse Tokyo」を結成。
11月、『子ども虐待防止策イベント in 東京 2019』を江戸川区のしのざき文化プラザで開催した。区議や都議も集まり、風間さんを含む3人のサバイバーが出演して虐待被害の経験を語った。
そのイベントの全体は、下記リンクで見られる。
そして翌年12月、虐待サバイバーの「そら」さんが代表になって中野サンプラザで開催された『子ども虐待防止策イベント in 東京 2020』に、風間さんは「親への手紙」の朗読者として招かれた(以下の動画はその時のもの)。
このイベントには、参議院議員の山田太郎さん(自民党)も参加し、風間さんを含む3名のサバイバーの「親への手紙」の朗読を聞いた。
すると、山田議員はその場で、「半年以内に自民党の勉強会にサバイバーの方をお招きします」と約束。
イベントから3か月めの3月9日、山田議員が呼びかけ人の一人になっているChildrenFirstの勉強会に、風間さんを虐待サバイバーとして初めて招いたのだ。
(※ちなみに、同じイベントで都議会の与党・都民ファーストの会も勉強会にサバイバーを招くと約束。風間さん他1名と僕を招き、その話に衝撃を受けた)
虐待サバイバーが政治家と新しい虐待防止策を議論する『子ども虐待防止策イベント』は、今年も全国各地で開催予定で、地元開催の希望者を公募中だ。
★風間さんの提言と、それを聞いた自民党議員の反応
3月9日、風間さんは自民党の勉強会で何を話したのか?
僕は取材記者としてzoomでリアルタイム視聴できたが、この勉強会は基本的には非公開。
メディアの取材だけを受け入れたので、風間さん自身から公開の許可を得て、勉強会で披露された資料の一部を公開する。
(※前述の風間さんの自己紹介の画像も含め、以下の資料は、風間さんが事前にzoomで模擬講演を行い、それをPulmoさんがパワーポイントや紙資料にまとめたもの。Pulmoさんも虐待サバイバーで、『子ども虐待防止策イベント』に2019年、2020年に風間さんと一緒に「親への手紙」の朗読者として出演した仲間)
山田太郎議員 @yamadataro43 は、私の尊厳や立場を守りながら丁寧に場をセッティングし、あの日の約束を果たしてくださった。ゆえに、この総括には感慨深いものがありました。
— 風間 暁 a.k.a karma (@k6rm6) March 9, 2021
これでようやくスタートライン。まだまだこれから。私も止まらずに爆進していきます。
それぞれの立場、それぞれの役割。 https://t.co/5UQic5p8kw
上の動画を見てほしい。
勉強会の終わりに、山田議員は自民党議員と報道機関の前でこう言った。
「風間さんのすごい話を聞くだけ聞いて、お涙ちょうだいで票を取るのは搾取だとご指摘をいただいた。そんな政治家では困る。これで何も変わらなかったら、我々(政治家)は何のために存在しているのか。行政もそうです。
風間さんは(虐待され続けて)死にたくても、死ねなくて、ここまできた。我々はこのバトンを受け取って、これ以上、子どもが虐待されないようにしなくてはいけない。声を上げられない当事者もいる。今日、当事者から報告されたのに何もできなかったら、政治は何のためにあるのか」
風間さんは、虐待防止策を議論・議決する政治のど真ん中に風穴を開けた。
でも、あなたは、彼女一人だけに虐待を防止するという重責を背負わせたい?
風間さんは、自分の自殺未遂や薬物依存症まで告白し、被害当事者として虐待の痛みやおそろしさを人前で語った。
虐待の残酷さを知らない人々から好機の目にさらされる危険もあるし、虐待親や世間から攻撃を受ける恐れもある。
これまで「有識者会議」の常連メンバーとして幅を利かせ、当事者から発言権を奪ってきた専門家・研究者などから、これまで以上に煙たがられるかもしれない。
当事者が本当のことを語るだけで、そういう既得権益との闘いになってしまうのだ。
しかし、子どもの頃に大人に虐待されたというリアルな痛みは、「有識者」の研究・関心の範囲を超えた、当事者にしかわからない固有の価値である。
親に虐待されている時、家の外の大人に何を求めていたのか?
誰にも頼れない時、どうやって生き残ってこれたのか?
そのライフハックはそれぞれ個別に異なる。
それを具体的かつ豊かに語れるのは、有識者ではなく、当事者だけなのだ。
だからこそ、風間さんの勇気にピンとくるなら、「こんな私でよかったら被害経験を広く知らせたい」というサバイバー当事者は、地元で立ち上がってほしい。
当事者が「新しい虐待防止策」について対等に政治家と議論できる『子ども虐待防止イベント』は、2018年以来、イベントを開催したことのない一般市民のボランティアによって全国各地で運営されてきた。
開催マニュアルも配布しているので、やる気になれば、学生でも、企業のSDGs担当者でも、生活保護受給者でも、誰でも実現できる。
開催は毎年10~12月。
今から準備を始めれば、余裕で間に合う(例年は8月頃から準備)。
虐待サバイバーの当事者だからこそ、この国の防止策を変えられるんだ。
あなたの地元にも、一緒に立ち上がる仲間が必ずいる。
僕と一緒に動き出そう!
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