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旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)への公開質問状 #ジャニーズ #芸能 #子育て #ビジネス #教育 #ニュース #社会人




 元『週刊文春』編集長の木俣正剛さんが、旧ジャニーズ事務所(現スマイルアップ)に対して「怒りの公開質問10か条」をネット上に記事として公開した。

 これにならい、僕(今一生)も僕しか聞かないだろう内容を含め、公開質問状をここに書くことにする。

 もっとも、僕は「怒り」に動機づけられて質問したいわけじゃない。

 旧ジャニーズ事務所の企業風土なのか、スマイルアップのプレスリリース(公式声明)や所属タレントの発言を見る限り、あまりにも説明不足で、情報公開に乏しい。

 そのため、ファンでもアンチでもない僕にとっては、端的に「わからない」と判断保留せざるを得ない状況を続けてほしくないからだ。

 誰にでもわかりやすい情報公開ができるだけのスキルをもった広報スタッフがいないのかもしれないが、そうだとすれば、以下の10か条の公開質問に速やかに、かつ具体的に、かつ明瞭に回答してほしい。
(※逆に言えば、以下の10点に対する回答がネット上に出揃わないうちに会見を開いても、そこへ出向く価値は無い。そもそもスマイルアップには「お客様」「採用」以外の連絡窓口が公開されていない)

【スマイルアップへの公開質問状】

① 被害者へ補償する際の「秘匿条項」の文章は公開するか?
② 被害者の補償を担当する弁護士を増やす予定はないのか?
③ 「当事者の会」を被害者の最初の窓口にしない理由は何?
④ 所属タレントに自由な発言を制限する契約にしているか?
⑤ 未成年タレントの親に「保護者会」の結成を促したか?
⑥ 再発防止を客観的に判断できる点検リストは公表するか?
⑦ 被害者やタレント、ファンへの誹謗中傷対策は何か?
⑧ 被害を放置した社員・タレントに責任はないと考えるか?
⑨ 所属タレントが被害者をいたわる動画を公開する予定は?
⑩ 被害者に向き合う時間を削っても能登を支援した理由は?

① 被害者へ補償する際の「秘匿条項」の文章は公開するか?

 スマイルアップ(旧ジャニーズ事務所)は、ジャニー喜多川による性加害の被害者に対し、「補償金をいくら払ったか」など補償契約に関する内容を口外禁止にする条件で補償金を払うという「秘匿条項」をつけているという報道がある。
 しかし、契約書を交わす場合、その契約が有効になるには、適法性と社会的妥当性が求められるはず。
 適法性とは、違法な内容なら契約は無効ということ。社会的妥当性とは、公序良俗に反する契約は無効ということだ。
 ジャニーズ問題とは、1000人以上の子どもが被害に遭い、そのトラウマによって精神疾患を長く患ったために働けなくなったり、身内がショックで入院するなど、被害当事者は何十年にもわたる莫大な損害を受けている深刻な事件だ。
 それなのに、補償金の算定基準は明らかにされず、慰謝料のみを払って逸失利益や医療費などは払わないと、加害者側が一方的に決めた契約内容は、たとえ違法ではなくても、公序良俗に反している。
 せめて被害者と交わした契約書の内容を、被害者の名前を伏せる形で公開し、社会に容認されるだけの中身になっているかを検証する機会を設けることはないのか?

② 被害者の補償を担当する弁護士を増やす予定はないのか?

 補償金を求めている被害申告者のうち、実際に補償金を手にしたのは、2024年2月15日時点で2割程度にすぎない。
 調査と査定を担当する弁護士が3人では、少ないのではないか?
 被害当時から70年が経過している被害当事者もいる中で、補償金を支払う速度が遅ければ、高齢の被害者はお亡くなりになってしまう。
 そうでなくても、被害者や家族に対する誹謗中傷が止まらないためにストレスを抱え、一人で亡くなってしまった方も既に報道されている。
 スマイルアップは、残り8割の被害者たちにより早く補償金を渡せるようにするために、弁護士をさらに増やすために金を出す予定はあるのか?

③ 「当事者の会」を被害者の最初の窓口にしない理由は何?

 「ジャニーズ性加害問題当事者の会」で活動するメンバーや、元所属タレントの被害者のみなさんは、ジャニー喜多川がいつ・どこで・どのようにして性加害をしたのかについて、詳細な事実を知っている。
 なのに、加害者側であるスマイルアップは、当事者の会と1度しか対話の機会を持っていない。
 多くの被害者にとって、被害を最初にうち開ける相手が、被害の痛みを知らない弁護士だと、被害の詳細を言い出すのに大きな勇気が必要になる。
 これは、補償金を求める被害者に高いハードルを設けているのと同じだ。
 被害当事者が最初の相談窓口にいれば、同じ痛みを知っている相手だから、相談のハードルは下がる。
 それどころか、告白した被害内容に事実相当性を判断する際も、被害者どうしなら「それはあるあるだ」「いや、それは考えにくい」と判断しやすい。
 なのに、なぜ被害者を遠ざけ、加害者側として一方的な契約内容を示すひとりよがりな態度を続けるのか?
 どうしても被害者を最初の相談窓口にできない理由があるなら、それを明らかにしてほしい。

④ 所属タレントに自由な発言を制限する契約にしているか?

 スマイルアップ所属のタレントは、自分が契約している事務所である旧ジャニーズ事務所の問題なのに、この問題についてメディアでほとんど発言していない。
 スマイルアップは、この話題についてタレントや社員に対して口外禁止にするような命令や助言、指導を行っているのか?
 あるいは、タレント契約をする際に、所属事務所に対する批判をメディアでやった場合に、何らかの罰則を設けているのか?
 自由に発言する権利はどんな人間にも法的に保証された基本的人権だが、この人権を守るために、事務所に対する批判も含めてタレントに自由に発言できる権利があることを、ジュニア時代から研修や教育で伝えてきたか?

⑤ 未成年タレントの親に「保護者会」の結成を促したか?

 未成年は、自分では契約が法律上できないため、親がタレント契約をする。しかし、親にとっても初めての芸能界における契約になるため、契約書の内容が正当なものかどうかを判断することが難しい。
 そこで、親どうしが契約書をお互いに見比べて、タレントになる子どもと事務所との間で不平等な条件が盛り込まれていないかを確認できるチャンスが必要になる。
 そこで、子どもを契約させた親どうしが情報交換しやすい保護者会を結成するように促す必要がある。
 では、ジャニーズ事務所時代から今日にいたるまで、独立した組織として保護者会を結成することを、親たちに勧めてきたか?
 あるいは、保護者会に参加することを、契約の条件に入れてきたか?
 また、未成年の法的トラブルの責任が最優先で問われるのは、親権者である親ということを、契約時に確認してきたか?

⑥ 再発防止を客観的に判断できる点検リストは公表するか?

 ジャニーズ問題が国内外に報道され、旧ジャニーズ事務所ならびに新社名のスマイルアップは社会的信用を失った。
 信用の回復には、被害者に対する補償、被害者に対する誹謗中傷対策の徹底に加え、二度と子どもを傷つけない再発防止策が必要不可欠になる。
 だが、スマイルアップは、具体的な再発防止策を公表していないどころか、たとえば研修する予定だと発表しても、実際にどんな研修内容なのかを具体的に公表していない。
 また、再発防止策として公式サイトに発表したプレスリリースでも、日常的な点検項目は一切明かされていない。
 たとえば、「大人と子どもが2人きりで密室に入ることを社内規定で禁じる」といったような客観的な点検項目リストがない。そのため、点検を一定期間徹底したからその期間は再発防止できたという検証ができないままだ。
 今後、具体的な点検項目リストは公表されるのか?
 公表するなら、いつになるのか?
 そのような具体的な再発防止策を公表しないまま、未成年タレントに仕事をさせている現状について、どう考えているのか?

⑦ 被害者やタレント、ファンへの誹謗中傷対策は何か?

 ジャニー喜多川から加害されて何十年も苦しんできた被害者に対し、SNSで誹謗中傷する人がいる。
 しかし、スマイルアップは、公式サイトで誹謗中傷をしないでほしいと書くだけで、有効な対策を講じていない。
 誹謗中傷は、所属タレントやファンに対しても行われているのに、なぜ有効な対策を講じないのか?
 誹謗中傷されて亡くなった被害者も出てきても、スマイルアップは何もしないが、自社の責任を感じることはないのか?
 あるいは、誹謗中傷が原因で亡くなった被害者の遺族に対し、既に何らかの補償や挨拶をしているか?

⑧ 被害を放置した社員・タレントに責任はないと考えるか?

 ジャニーズ事務所における犯罪は、ジャニー喜多川個人だけではなく、社員やタレントも加害者になってきたという報道もある。
 また、ジャニー喜多川だけに限っても、その犯罪について知っていたのに見て見ぬふりをしてきた社員やタレントも複数いる。
 いずれも時効で刑事事件として立件されてはいない。だが、犯罪が起こる可能性を認識し、その結果が発生してもかまわないと容認することは「未必の故意」と呼ばれ、裁判では幇助犯または共犯として罪に問われる行為だ。
 そこで、被害を放置した社員やタレントについて、スマイルアップは何も責任はないと考えるのか?
 もし責任があるとしたら、どんな責任の取り方が適切なのか?

⑨ 所属タレントが被害者をいたわる動画を公開する予定は?

 被害者に対する誹謗中傷を辞めさせるためにも、また、子どもに対する加害を二度とさせない再発防止策の一つとしても、所属タレント全員による何らかのアクションが有効ではないか?
 たとえば、ジャニー喜多川の犯罪によって子どもの頃から何十年も傷ついてきた被害者をいたわるコメントを、経営陣やマネージャー社員はもちろん、タレントもみんな自分の言葉で語る動画を公開する予定はないのか?
 あるいは、1人の加害者が少なくとも1000人以上の子どもを傷つけた点で人類史上最悪の犯罪を見て見ぬふりしてきた過去を反省し、謝罪し、子どもを守ろうと呼びかける歌を作って、所属タレント全員で歌い、その売り上げを被害者の補償に全額寄付するという取り組みをすることはないのか?

⑩ 被害者に向き合う時間を削っても能登を支援した理由は?

 2023年の記者会見で、東山社長は「被害者の方への救済、補償を誠心誠意に行う」と自ら発言した。
 だが、まだ補償が終わっていないのに能登の被災地支援に2度も会社として足を運んだことは、「被害者の方への救済、補償を誠心誠意に行う」と誰もが納得できるふるまいか?
 被害者が今なお苦しんでいる最中に、能登にどうしても行かなければならない特別な事情があるなら、それは何か?
 また、被害者が被害を誰かに告白し、補償を求める勇気を出せるのは、今すぐではなく、10年後かもしれない。
 その前に廃業し、会社がなくなれば、相談窓口も同時になくなってしまう。
 いつまで会社を存続させるつもりなのか?


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