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千葉県「虐待死は非公開」続報2 議会での質疑内容


 市原市での虐待死事件を受けて、千葉県が「子どもの虐待死に関する情報は今後非公開」と決めた方針について、6月16日の県議会(定例会)で安藤淳子・議員が質問しました。

 それについては、朝日新聞の千葉版に簡単な記事が出ていました。
 安藤議員の公式サイトで質疑の詳細がわかりましたので、以下に転載します。


(1) 今回の事件に係る市原市と県の連携について、どのように考えるか。
 また、必要な検診や予防接種を受けさせない親は、虐待に係る高リスク群であると考えられるが、このような者に対して、県はどのように関わるべきであると考えるか。

答弁(滝川伸輔・副知事)
 今回の事件においては、児童のみならず、家族全体を支えるという視点に立って、児童相談所や市などの関係機関が連携して対応していく必要があったものと考えている。
 通常、乳幼児が必要な検診や予防接種を受けていない状況があった場合においては、育児放棄も考えられることから、まずは市において、母子保健部門と児童福祉部門が連携して、児童の健康状況の確認などを行うことになる。
 そして、リスクや緊急性が高い場合等には、児童相談所が市から事案の送致を受け、要保護児童対策地域協議会の構成機関等と連携し、児童の一時保護を行うなど主体的に支援を行うこととなるが、市と児童相談所が互いの立場を理解しながら、双方が協働して支援を行うことが重要であると考えている。

(2) 今後、新たに虐待死事件が発生した場合、事件に関する情報を公開することについて、個人情報の保護と公益性の観点から、県はどのように対応するのか。

答弁(滝川伸輔・副知事)
 児童虐待に関する情報については、子どもの福祉と個人の尊厳を守る観点から、本人や関係者の権利や利益を侵害することのないよう慎重に取り扱うべきものと考えている。
 一方、児童虐待死亡事件が起きてしまったような場合には、悲しい事件が二度と起きないよう、再発を防止する観点から、その内容を公開すべき情報もあるものと考えている。
 このため、個人情報の保護と、公益上県民にお知らせする必要性の両方の観点に十分配慮しながら対応してまいる。

再質問 今後、県は当該事件に係る検証委員会を設置するのか。

答弁(加瀬博夫・健康福祉部長)
 今後、市原市において事件の検証を実施するとのことですので、県として、できる限り協力・支援してまいりたいと考えている。
 また、県としても、見直すべき事項がないか、点検してまいる。

●あなたの子どもが虐待やいじめで亡くなっても「非公開」

 上記の県側の回答について、朝日新聞千葉版(6月17日付)は「『児童相談所の関わりを含め、一切情報公開しない』との方針を事実上転換した」と書きましたが、「『公開できる情報』の具体例は示さなかった」と記事の最後を結んでいます。

 県が虐待死に関して「公開できる情報」の基準を示さなかったので、「行政文書の1割程度の情報でも出しておけば(=9割を隠しておいても)、『公開すべき情報』は出した」ことになります。
 なので、安藤議員は、立憲民主党会派として、「今一度、行政としてのSOSを拾うアンテナの見直しをしていただきたい」と県に要望しました。

 もっとも、今回の質疑内容を安藤議員がネット上で報告したことで、報道ではわからなかったことが明るみにされました。

 その一つは、滝川伸輔・副知事が、これまでと同じ発想で子ども虐待防止策を続けると明言している点。
 つまり、今後も千葉県内では、子ども虐待や虐待死は防ぎようがないのです。

 もう一つは、虐待死の公開・非公開の裁量権を実質的に運用する役人が加瀬博夫・健康福祉部長であり、彼こそが滝川伸輔・副知事の命じる方針どおりに虐待死に関する情報公開の範囲を粛々と制限するという点です。

 しかも、市原市の虐待死を調査する第三者委員会には、県職員がオブザーバとして参加することが決まっています。
 これも、「県と市の連携」という美名の下で、県が市ににらみを利かせているような印象を受けます。

 NHKの報道によると623日、市原市議会の教育民生委員会で質疑が行われ、虐待問題に詳しい東京経営短期大学の小木曽宏教授が参考人として出席。

 委員会のあと、小木曽教授は「長期にわたって安全確認ができていないなどの情報を集約して虐待のリスクを判断する専門家が足りなかった。今後は、適切に通告できるような仕組みを構築してほしい」と話したそうです。

 専門家は、全国どこの児相でも人員不足であり、人員増に伴う予算をつけるのも大変な状況にあるため、優等生的な「べき論」であり、対症療法にすぎません。

 人員や施設を増やせば、相談窓口も増えるため、相談件数が新たに増え、また人員と施設が足りなくなります。
 つまり、人員や施設と予算のイタチごっことが続くだけ。
 子ども虐待そのものは減りませんし、それは過去30年間、ずっとそうでした。

 だからこそ、子ども虐待防止策を根本的に見直す必要があるのに、市原市は「虐待問題に詳しい」はずの東京経営短期大学(千葉県市川市)の小木曽宏教授を「地元の有識者だから」と参考人として招致したのです。

 このままでは、市原市でも、千葉県でも、子ども虐待はもちろん、虐待死は続くでしょう。
 だからこそ、県も市も虐待の情報をすべて公開してほしいのです。

 これは、千葉県だけの問題ではありません。
 子ども虐待だけの問題でもありません。

 京都市では、児童養護施設の施設長が入所していた少女にしていた性的虐待を内部告発するため、児童相談所の相談記録を閲覧した職員が、不正な行為だとして懲戒処分にされました。

 北海道では、いじめで自殺した生徒に関するアンケートが廃棄されました。
 いじめ自殺した子どもに関するアンケートが破棄されるケースは、全国の自治体に蔓延しています。


 津久井やまゆり園での元職員による殺傷事件があった神奈川県では、この事件に関する第三者員会の調査を中間報告でとめて、「最終報告は作成しない」と決定されました。
 調査報告には、元職員に対して他の職員たちが入所している障害者を虐待させる指導があったと指摘されているようで、県による隠ぺいが疑われています。

 行政文書の公開を制限し、「見たけりゃ審査会に開示請求しろ」という構えは、国家にも自治体にも見られます。
 自治体で情報開示しても、黒塗りの「のり弁」では意味がありません。

 だからこそ、私たち納税者が税金を出して働かせている役人や政治家には、「すべての情報を公開せよ」と迫る必要があります。
 子どもや、障がい者や、高齢者や、外国人などが、審査会に開示請求できますか?
 子どもは、その権利があることすら学校で教えられていないのですよ。

 僕ら大人が動かなければ、子どもたちを守れません。
 ほんの少しだけ、力を貸してください!

千葉県と市原市は、「虐待事件の非公表」を撤回して!(ネット署名)
 http://chng.it/TPnr7Wm7


 ネット署名は、10万人分が集まり次第、千葉県庁と市原市役所に持参します。
 上記のリンクと画像をtwitterなどのSNSで拡散していただけると、ありがたいです!

 なお、続報3は、以下リンクへ。
https://con-isshow.blogspot.com/2020/06/chiba-zokuho3.html



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