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今日2025年10月10日、公明党の斉藤鉄夫・代表は「自公連立政権については一旦白紙とし、これまでの関係に区切りをつけることとしたい」と「連立離脱」を表明した。
高市早苗が自民党の総裁に選ばれたが、これまでなら自民党の総裁になれば、国会でも内閣総理大臣として選ばれてきた。
しかし、今回は公明党が連立与党に入らない以上、衆参両院とも少数与党の自民党の高市早苗が内閣総理大臣になる根拠が失われてしまったわけだ。
つまり、国会で誰が総理大臣になるのか、わからなくなってしまった。
それどころか、もし立憲民主党が公明党や国民民主党、れいわ新選組など他の政党や無所属の議員のすべてと一緒に野党連合を組んだ場合、自民から発案された政策はことごとく否定されることもあるだろう。
もちろん、それは野党議員が多数派の情勢なのだから、当然ありうる話ではある。
だが、問題は数合わせのために参政党のような少数政党がキャスティングボートとして機能してしまう懸念が出てくることだ。
また、それ以上に、法案や予算案を議決したくても、野党連合が生まれて意見を聞く政党が多くなれば、その分だけ意見を調整するのに時間と手間がかかる。
すると、物価高対策や震災の復興予算など、緊急を要する課題の解決にこれまで以上に時間がかかることになる。
もちろん、民主主義とはそもそも、多様な意見をふまえて議論し、調整した結果、最大多数の最大幸福になる法律と予算を結果的に導く仕組みなので、野党連合ができることは民主主義社会にとっては良いことだ。
その反面、法律や予算の遅れについて、国民は覚悟しなければならない。
政治的な決定が遅れれば、お金がない社会的弱者ほど窮地に立たされやすいからだ。
物価高対策に有効な政策が決まらないままだったり、消費税を含む大幅な減税も実現が遠かったりすれば、1人で亡くなる方も増える恐れがあるし、倒産する会社も増えるだろうし、犯罪に走る人も増えるかもしれない。
僕は自民党の支持者ではないが、自民党にとって代わる新しい政治体制が生まれるなら、勝手に何でも進めがちだった自民党の悪さの代わりに、複数の多くの野党による長い議論を待つ忍耐力が国民に問われることを理解しておこうと思うのだ。
ただし、野郎連合が作られる可能性より、自民党が公明党の代わりに他の政党と連立を組む可能性も決して小さくない。
日本経済新聞10月7日付の記事には、こう書かれている。
「自民党は高市早苗総裁の就任を受け、連立拡大の軸足を日本維新の会から国民民主党へ移した。高市氏と国民民主の玉木雄一郎代表が5日、麻生太郎副総裁と会談した」
この麻生と玉木の近づきぶりについて、元朝日新聞政治部でジャーナリストの鮫島浩さんは、こう言っている。
では、なぜ公明党は今になって、自民党の連立を解消したのか?
公明党は、1999年から26年間も自民党と連立を組んできた。
だが、8年前の2017年の衆院選から、公明党は選挙で勝てず、どんどん議席数を減らしてきた。
そもそも、国民が公明党に対して連立与党とし期待したのは、自民党が暴走するのを止めるストッパーとしての役割だ。
ところが、自民党は消費税率をどんどん上げるし、政治とカネの問題に決着をつけないまま、企業・団体献金もやめようとしない。
このままでは、連立を組んでいる公明党に対しても、国民は冷ややかな目を向けることになり、それは選挙での落選という結果に表れてきた。
つまり、自民党を支える連立政党だと思われてしまえば、公明党はますます議席を失う危険が高まってしまう。
そこで、公明党の協力なしには選挙でも勝ちにくい自民党が、企業・団体献金の禁止に踏み切ることは、おそらく無理だろう。
かといって、自民が国民民主と組んだだけでは、まだ少数与党のままだ。
自民・国民に維新が加わって、ようやく過半数になるため、麻生が維新に近づけば、維新がキャスティングボートを握ることになる。
では、維新は、凋落している自民に連立を求めるだろうか?
毎日新聞の10月7日付の記事には、こう書かれている。
「立憲民主党、日本維新の会、国民民主党など野党の国対委員長が7日、国会内で会談し、維新の遠藤敬・国対委員長は記者団に『この際、首相指名で玉木代表の名前をみんなで書いたらどうなんだ』と持ちかけたことを明らかにした」
冗談であったにせよ、内閣総理大臣が自分の政党の代表でなくても、自民以外の政党なら歓迎するという構えが見える発言だ。
維新は大阪で、自民党の議席を根こそぎ奪ってきた政党だ。
麻生にとっても、組みたくない政党だろう。
その結果、立憲・国民民主・維新・公明が固まる可能性はあり、この4つの政党が固まれば、自民党単独の議席数と張り合えることになる。
もし、れいわ新選組や共産党もこの4党連合を応援すれば、実質的な野党連合になり、野党から総理大臣が出る可能性が高まる。
同時に、今後の臨時国会での補正予算や法案の成立がスムーズに進む期待が持てる。
自民を蚊帳の外へ置いた政権運営を始められるのだ。
もっとも、麻生がなりふり構わず多数派工作をしたら、維新や参政党、国民民主の数合わせで連立が成立し、少数与党から脱却し、自民を主軸にする政権に戻ることになる。
「公明党を外した自民党の安定政権に戻りたいのか」、それとも「自民党を外した野党連合で政党間の調整に伴う時間がかかっても民主主義の多様性を守るのか」、それが悩ましいところだ。
公明党との連立解消によって、高市早苗に総理大臣をやらせたくないと考える自民党の議員も少なからずいるだろう。
彼女が総理になれば、自民党に対する風当たりはますます強くなり、公明党の協力も得られなくなった以上、次の選挙で落選する恐れが高まるからだ。
だから、政局は今後も荒れまくる。
この政治空白の中で、一番切実に困っているのは、僕ら国民だろう。
そこでみなさんにお尋ねしたい。
主権者のあなたは今、どんな法案や予算を切実に求めているだろうか?
主権者として、具体的な法案や予算を教えてほしい。
主権者が求めるものがあいまいなら、政治家だってあいまいな仕事をのらりくらりと続けるだけだから。
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