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子育て支援が、深刻な虐待をとめられないワケ


 最近、声だけで話し合えるアプリ「clubhouse」で話してることを書いておこう。
 それは、子どもを虐待する親には4タイプいるってこと。

 これは、僕が編集した100人の虐待被害の告白集『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(dZERO刊)などの一連の手紙本を分析したり、取材経験で得た考えだ。

 その4タイプは、以下のように分類できる。


 では、一つずつ解説していこう。

A層:虐待しそうなので、相談したい親

 とくに初めての子に対して子育てのストレスを抱え、誰にも相談できないまま、乳幼児に手を挙げそうになったり、大声で叱り飛ばしたくなったり、脳内だけで虐待しては自制心をなんとか保とうとしている親。

 こういう親は、子育てノウハウや自分の不安などを相談できる相手が身近にいたり、市役所などの子育て相談や児童相談所に足を運ぶことで安心を得て、早めに自分自身の加害願望を捨てることが見込まれる。

 彼らは、社会に「子育ては頼り合っていい」という文化が広まれば、親子ともども孤独な苦しみから救われていくだろう。

 A層の親は、AsMamaのアプリ「子育てシェア」を利用すれば、一時的に子どもを近所の子育てママに預けられるので、早期に虐待予防が可能になる。
 産褥期ならマドレボニータに相談したり、モーハウスの授乳服を着れば、気軽に外出して友人と語れるチャンスや仕事への早期復帰にもありつけるからだ。

B層:虐待を始めてしまい、相談しにくくなってる親

 A層とは違い、すでに何度か子どもに手を挙げてしまったり、子どもが自分にとってイライラすることをしていると反射的に大声で叱り飛ばしたり、食事も満足にあげなかったり、おむつ換えも怠けてしまったりするものの、加害者として薄々でも自認している。

 このB層の親の不安は、まだ虐待していないA層よりはるかに大きい。

「誰かに相談したいけど、叱られるんじゃないか」
「公共機関に相談したら、子どもが児相へ連れ去られるかも…」
「虐待なんかしたくないのに、してしまう自分はダメ親だ」

 B層では、親自身が子育て疲れで自殺願望を持て余していたり、「こんなダメな私は相談しても救われないんじゃないか」と自分を責めている場合が多い。
 この場合、ネット上に自分と同じ悩みを持つ親が子育ての不安をぶちまけていると、「わかってくれる人がいた」と一時的には救われたような気分にはなる。

 しかし、日常に戻れば、不安だけが心を支配してしまいがちなので、そのままだと最悪の場合、後述するC層へ転落しかねない。
 カウンセリングや精神科に通っても、日常の親子関係を親の自助努力として改善するのは難しいからだ。
(※せめて子どもだけでもカウンセリング料を無料化できるようにすれば、被虐待児の早期発見・保護が見込める)

 そこでB層に対しては、「過去に虐待してしまったものの、今では子どもに心から謝り、子どもから許され、親子関係が良好になった親」(元ダメ親の当事者)を公共機関や民間の支援団体が相談員として配置すれば、相談できるかもしれない。

 「元ダメ親」の当事者たちがハンドルネームや顔のイラスト、簡単な子育てプロフをネット上に載せて、相談したい親が自分の安心できそうな当事者を指名して選べるようにし、24時間体制で電話相談ができるようにすれば、子どもの夜泣きでうつ病になりかねない多くのB層を救える希望にもなるだろう。

 そのように、当事者を人材として活用するという提案を、市民の側から市議会に陳情したり、市議にメールするなどの動きを1人でも多くの方が始めれば、その町のB層の親は救われ、子どもも虐待の痛みから解放されやすくなる。
 子どもを救いたい有権者ほど、そうしたアクションを始めてほしい。

C層:虐待が既に日常化し、悟られたくない親

 B層が救われないままでいると、子ども虐待が日常化する恐れが高まる。
 そして、日常化してしまうと、虐待の事実を誰にも悟られたくないので、役人が公的支援を案内しても、満面の笑みで「私の家に虐待なんてありませんよ」とやんわりと断るようになる。

 すると家庭は密室化し、子どもは親から「家の外の人に何も言うな」と固く命じられるため、誰かに相談したくても報復が怖くて事実が表に出なくなる。
 C層の親は世間に虐待を知られるのが怖いので、徹底的に世間体を良くする。
 積極的に地域活動に参加したり、あえて自分でゴミ出しをする父親もいる。

 こうした親は、誰にも発覚されないまま、虐待をいつまでも続ける。
 最悪の場合、子どもを殺してしまうまで虐待する。

 そこで、ご近所や幼稚園などとつき合わず、「公的支援を断る親」に虐待の恐れが高いことをホームページで警告している自治体は少なくない(※以下の図は茨城県石岡市のホームページより)。


 C層の親は各種の相談機関に足を運ばず、むしろ敵視し、彼らから意識的に隠れ、子育て支援で子ども手当をもらっても、子どものためには使わないのだ。

 それどころか、虐待を嫌がる配偶者も巻き込んで、自分たちの虐待を世間から巧妙に隠し通すことを強要し、虐待に加担させ、「共犯者」にすることで支配したがる。

 これは、野田市の虐待死などの事件でも同様で、これまでに何度も繰り返されてきた深刻な層といえる。
 残念なことに、C層の親による虐待は、子どもが虐待で殺されるか、小児科医や担任教師などが気づかない限り、発覚しない。


D層:虐待が快楽になっており、とめられたくない親

 C層は子どもの命を奪ってしまうことがあるので、残念な結果として発覚しやすいが、D層になると意外と発覚されないまま、子どもにとって被害の苦しみが永遠に続くことになる。

 なぜなら、D層の場合、虐待が親にとって快楽になっているため、支配を続けたいと望み、子どもを「生かさず殺さず」の状態に置きたがるからだ。

 たとえば、娘を性的虐待で妊娠、中絶させたり、あるいは出産させる父親がいる。
 しかし、親権者には「居所指定権」が民法で法的に保証されているため、子どもの居場所を特権的かつ独占的に決められる。

 しかも、70年以上も前に作られた民法では「成年に達しない子は父母の親権に服す」(=子どもは一方的に親に従うべき奴隷)と明記されているため、体に外傷が認められず、夫婦喧嘩の事実が外に漏れない場合、子どもが家から逃げることを許さないことが正当化されてしまう。

 子どもの方も、性の意味を知ると被害を誰にも相談できなくなり、学校にも警察にも児童相談所にも頼れず、親権者からの法的支配が及ばなくなる成人年齢を迎えてから、自分が負った精神病を働きながら自己負担している。

 このD層の親は、たとえ誰かに虐待を疑われても、「私の子どもに私が何をしようと私の勝手だ。何が悪い」と居直るほど、罪悪感も加害者意識も乏しい。

 D層には、「俺は親父にもっとつらい目に遭わされた。この程度で虐待なんて言うな」と被虐待の過去を免罪符にする親もいれば、子どもに対して「おまえは私の老後のために生んだんだ」とうそぶく親もいる。

 それでも、成人した子どもには、よほどの貧困でない限り、自分を虐待した親を扶養・看護・介護する義務を法的に負うことになる。
 扶養については、これ
 介護については、これを読んでおいてほしい。

 日本の子どもは、民法を変えない限り、永遠に虐待され続ける。
 有権者がこのことから目を背ければ、痛ましい虐待死はもちろん、一生を親の奴隷にされる人も温存されるのだ。

 一度、奴隷にされた人は、親を捨てることがあまりにも怖くなり、なかなか親を裏切れない。
 あなたは、そういう人たちを放置できるだろうか?

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 子育て支援で虐待防止策になるのは、A層とB層まで。
 C層とD層こそ深刻なのに、救われないままだ。

 日本では、子ども虐待防止策に30年以上も失敗を続けている。
 過去30年間に1万人以上の15歳未満の子どもが虐待死で亡くなっていると、小児科学会は推計値を発表している。
(※詳細は、拙著『子ども虐待は、なくせる』を参照)

 これは、厚労省の有識者会議に招かれて制度設計に関わる学者・専門家・支援団体が、彼らにとってつき合いやすいA層とB層の親しか想定しておらず、政治家も「子育て支援」を選挙公約にすれば、得票・当選しやすいからだ。

 こうしたとんでもない現実を突破し、子どもを虐待親から救うために、以下の3点を考えてみてほしい。

① 厚労省では長年できなかった虐待防止策は、こども庁でこそ作られる
③ 新しい虐待防止策を作り出す議論に、サバイバー当事者として参加する

 子ども虐待をいつまでも温存しているのは、子どもを苦しめる法律を変えようともせず、子どもに選挙権がないことを知りながら、他人事にしている私たち有権者なのだから。


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