クリスマスのチャリティが叫ばれる中、そういう人たちの存在を想像してみてほしい。
たとえば、以下のような人たちだ。
★高学歴が得られないために低所得の仕事しか就けずに貧困化していく人たち
★福祉作業所に通所し、月収1万円の仕事しかさせてもらえず、結婚や子育てなどが不安な人たち、
★金や食べ物を恵む人がいるために、仕事に就く動機や選択肢が奪われているホームレスな人たち
★ひとり親で、仕事にも子育てにも厳しい暮らしに耐えかねている人たち
…など、数え上げれば、きりがない。
こうした「社会的弱者」と呼ばれている当事者たちにとって、日本の社会福祉は満足なサービスを提供しているとは言えない。
そこで、「彼らを少しでも生きやすくしたい」という思いから、彼らの抱える課題を民間のNPOや企業などが解決する動きが日本でも広がりを見せている。
その最先端が、「ソーシャルビジネス」を進めている社会起業家だ。
社会起業家とは、特定の社会的課題を解決できる画期的な仕組みを作り出し、その仕組みを社会に普及させ、社会インフラとして定着させるために、その活動コストをビジネスによって賄う事業体のこと。
たとえば、ホームレスに仕事を作り出して「働く」という選択肢を生み出すことで自立の足掛かりを作っているNPO法人Homedoorや、働くママたちに子育てを地域でシェアできる仕組みを作り出したAsMamaなど、たくさん生まれている。
くわしくは、『社会起業家に学べ!』(アスキー新書)、『ソーシャルデザイン50の方法』(中公新書ラクレ)、『よのなかを変える技術』(河出書房新社)などを読んでみてほしい。
もっとも、自分が「こんな人を助けたい」という思いを持っているものの、NPOを立ち上げたり、ソーシャルビジネスを作り出すポジションには、さまざまな事情で進めない人もいる。
むしろ、良い活動をしている団体を後ろからそっと支えるポジションの方が、自分の能力を活かせる人もいるだろう。
そこで、知ってほしいのは、「中間支援」という関わり方だ。
ちょうど、日本財団CANPANの中間支援をわかりやすく伝えた動画があるので、見てほしい。
●自分の毎日の仕事を通じてNPOにかかわってみよう!
動画をご覧いただければお気づきのように、社会的課題の解決事業を行うには、NPO1団体が孤軍奮闘していても、らちがあかない。
ソーシャルビジネスを手掛けるなら、なおのこと、ビジネスのノウハウや資金、人手などが必要になる。
「ああ、お金がない。どうしよう…」なんて一人で考えていても、課題解決は進まない。
資金を調達できるノウハウを教えている人に助言を求めれば、早いうちにその問題を突破できる。
「人手が足りない。どうすれば…」なんて団体内部だけで悩んでいても、何も変わらない。
そこで、人手を集めるノウハウや広報戦略を提供する人を探し、声をかければ、悩んでいた日々がもったいなかったと気づくだろう。
日本財団CANPANではそのようなノウハウ提供のチャンスとしてセミナーを開催したり、NPOの情報発信を支援したり、寄付をより多く集められるような仕組みを作る「中間支援」をしているのだ。

最近では、NPOに融資する金融機関も増えてきた。
僕自身も、自分ではNPOをやっていないが、テレビや新聞などのマスメディアがこぞって取材したくなるための広報戦略を日本財団で講義したり、オンライン上のサービスとしても提供している。
そもそも、ライターや編集者として雑誌や書籍で最新のソーシャルビジネスやソーシャルデザインの事例や発想法を取材・執筆しているのも、「中間支援」の仕事といえるだろう。
もっとも、「中間支援」は、働く人それぞれが自分の職場・職能によって参加することができる。
たとえば、最近ではとても美味しい授産品(※福祉作業所で障がい者の方が作っている食品)がたくさん生まれているが、流通・販売に携わる人なら、それを自分の通常仕事として販路に組み込むだけで、障がい者の工賃をアップさせることができる。
そうした事例が1個でも増えれば、月収1万円しか障がい者に渡していない福祉作業所は、淘汰されていくだろう。
また、メーカー勤務なら、売れ残って返品されてきた未開封品をNPOに無償で提供すれば、NPOはその分だけ経費を節約できる。
まだ大学生の身分なら、不要になった学術書などを寄付すれば、自分の共感できる活動団体を資金的に応援できる「学術書チャリティ」を活用してみるといいだろう。
市民がそれぞれ自分の仕事や能力を通じて、無理なくNPOと連携していけば、それだけでもNPOは活動を活性化できるのだ。
お金がなくて寄付金を提供できなくても、ビジネスノウハウを提供するプロボノやボランティアとしてかかわることもできる。
今年のクリスマス・チャリティは、お金だけでなく、自分の職能を自分の共感する活動団体に活かせないかと考えてみてほしい。
企業として、組織ぐるみでNPOとの有効な連携を図りたい場合は、ぜひ僕まで相談してみてほしい。
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