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公衆トイレの便器数は、男性用が女性用の1・7倍◎女性だけ行列の差別と犯罪 #トイレ #ジェンダー #差別 #日本 #子育て #教育 #SDGs #社会 #犯罪 #事件 #フジテレビ



(※このテキストの動画版は、コチラ

 今年(2025年)2月12日にwithnewsというニュースサイトに、「女性トイレだけ行列、なぜ?」という記事が公開され、話題になった。

 この記事によると、東京都在住の60歳の女性・百瀬まなみさんが、駅など公共空間のトイレ706カ所の男女別便器数を数えたところ、便器数(男性は小便器を含む)は、男性が女性の1.76倍も多く、706カ所のうち9割以上のトイレで男性の方が便器数が多かったとか。

 しかも、女性客が多い商業施設でも、男性用便器の方が多かった。

 同じ記者が書いた朝日新聞の記事によると、調査した百瀬さんは、こう言っている。

「面積が同じであれば『平等』かもしれないが、『公平』とは男女ともに待ち時間が同じになることでは? せめて便器数を男女同数にしてほしい」
 
 この記事は、他の国では様々な空間に応じて男女比の基準が定められている事例も紹介していた。

 国際赤十字などが難民キャンプや災害避難所を想定して定めた基準では、最低限必要なトイレ便器数の男女比として1:3。
 台湾は10年に成立した法律で、学校や駅などでは1:5、オフィスなどでは1:3。

 イギリス王立公衆衛生協会が公表した19年の報告書によると、アメリカの一部の州とカナダでは、女性のトイレ利用時間を考慮した上で便器数の男女比を決める「トイレ平等法」が制定されていて、報告書では「少なくとも1:2が必要」と指摘されているとか。

 こうしてみると、女性用の便器数を男性用より2倍から5倍ほど増やすのが世界標準の考え方だとわかる。
 それは同時に、世界中どこでも、トイレの利用時間が男性より女性の方が多いことも示唆している。

 実際、男性は排泄以外の目的で公衆トイレを利用することはないが、女性は赤ちゃんへの授乳やメイク直しにも利用する。
 だから、昨今では公衆トイレに隣接して授乳室や化粧室を作ることも増えてきた。

 しかし、授乳や化粧以外にも、生理用品を取り換えたり、生理による出血を手当てしたり、赤ちゃんのオムツをとり変えるなど、男性の利用目的にはないさまざまな手間が、女性用トイレでは行われている。

 こうなると、授乳室や化粧室を作るだけでは、女性用の公衆トイレでの行列を根本的に解決するのが難しいことがわかる。

 そもそも、公衆トイレを設計した建築士や、床面積や便器数の予算を決めた人たちが、男性と女性の利用目的の違いについて関心が足りなかったのだ。

 つまり、ジェンダーの違いへの無関心のツケが、女性用の公衆トイレの前に行列を作らせたのだ。

 ちょっとネットで調べてみれば、女性の尿道は男性より短く、尿道を支える筋肉も弱いために尿が出やすく、「起床から朝食直後」の排便も、男性が70%でも、女性は51%程度で、外出時に公衆トイレを利用する頻度が女性の方が高いことがわかる。

 でも、トイレ問題における女性差別が話題になっても、女性ならではの事情に関心を持たない男は多い。

 僕がこうしたトイレ問題に関心を持つのは、小学生の頃からすぐに腹を下してしまう子どもだったからだ。

 19歳で上京し、一人暮らしを始めた途端に腹痛も下痢もウソのようになくなり、家庭環境がストレスフルなものだったことに気づいた次第だ。

 でも、もし僕が女性だったら、学校のトイレや職場でのトイレも含めて、公衆トイレに入るのに行列に並ぶことを強いられたら、待ってる間にイライラしながらおもらししないようにガマンし続けることを繰り返し、どうしようどうしようと深刻に悩んだはず。

 たまたま男性に生まれて、一人暮らしの部屋で仕事をする物書きの仕事をしているから、おじさんになってから頻尿になっても困ることがないだけなのだ。

 自分がそれでいいかもしれないが、そこで思考停止してしまったら、女性は困るはず。
 そう考えるから、困っている人の事情について関心を持つ習慣をつけたいと思うのだ。

 もっとも、たいていの人は、自分が困らない限り、この社会にある問題の深刻さに思い当たらないだろう。

 自分が何かに困った当事者になった時にこそ、人は「なんでこうなってるの?」と調べ始める。

 700か所以上もトイレを調査した百瀬さんも、「純烈」のコンサートを鑑賞した松江市から2時間半ほど電車に揺られ、倉敷駅に着くとトイレに急いだが、5人が並んでいて、脂汗を垂らしながら約5分、順番を待ったそうだ。

「あー、もう早く誰か出て!」
 わかる! わかるよ、百瀬さん!

 もれそうな人にとっての5分は、膀胱が破裂しそうなほどの地獄だ。
 トイレさえ十分な便器の数をそろえておけば、ガマンしなくて済む話なのだ。

 子どもの頃からガマンを強いられることに慣れきってしまった日本人は、他の人にも真っ先にガマンしろよと言いたくなってしまう。

 しかし、自分が何かにガマンしてるとしたら、同じことで他の多くの人もガマンしてることに気づいてほしい。
 みんながガマンしてるなら、ガマンしなくていい仕組みやデザインに変えようという声は支持されやすい。
 だから、声を上げることには、自分の味方を増やすだけの大きな価値があるのだ。

 トイレ問題には、他にもトランスジェンダーが男女どちらのトイレに入れるのか問題など、多くの問題が残っているが、今回は犯罪の現場になっている危険について紹介したい。

 実は、トイレが犯行現場になったニュースは珍しくない。

 今年(2025年)2月6日、愛媛県のトイレで20代の男性が被害に遭ったケースでは、32歳の無職の男性が逮捕されたが、逮捕は5回目という。


 1月17日には、補助員として勤務していた東京都内の学童保育施設で児童らを公園に引率した際、当時7歳の男の子をトイレに連れ込んで手足を縛り、性的に暴行した様子を撮影したとして、38歳の男が逮捕された。逮捕は3度目だという。

 100カ国でトイレの構造分析を行ってきた立正大学教授の小宮信夫さんは、Yahoo!ニュースのエキスパートの記事で、「構造上、世界で最も犯罪が起きる確率が高いのは日本のトイレ」と書いている。

 その記事では、犯罪機会論の研究成果として、事件が起きやすい場所は「入りやすく見えにくい場所」という。

 女の子が襲われた男女共用の「だれでもトイレ」は、もともと「入りやすい場所」で、犯罪に遭いやすい女性のトイレが手前にあるため、「入りやすい場所」だった。

 さらに、トイレの入り口は壁が邪魔をして、買い物客や従業員の視線が届きにくく、「見えにくい場所」でもあった。

 公衆トイレの建築デザインが犯罪を誘発しないよう、海外のトイレは4つのゾーンに分かれることが多い。

 男女別の身体障害者用トイレが設置されたり、男女それぞれのトイレの中に障害者用個室が設けられたりしている。
 利用者層別にゾーニングされ、紛れ込みにくいトイレは安全だ。「入りにくい場所」だからだ。
 
 また、被害に遭いやすい女性のトイレは、奥まったところに配置され、「入りにくい場所」にしていることが多い。
 女性の後ろからついてきた男性が、ずっとついて行くことができないようにするためだ。

 海外では、男子トイレの入り口と女子トイレの入り口が、かなり離れていることも多い
 離れていれば、男性の犯罪者が女性を追尾しにくく、一緒に個室に入り込む手口を防げる。
 男性が女子トイレに近づくだけで目立ち、周囲の人も、おかしいと気づくからだ。

 そうした海外の公衆トイレとは対照的に、日本のトイレは、男子トイレの入り口と女子トイレの入り口が近いので、怪しまれずに追尾できるし、簡単に個室に連れ込める。

 公衆トイレがそういう犯罪の温床になりうる危険な場所なら、腕力に自信のない大人はもちろん、子どもは安心して利用できない。

 小宮教授は、そうした犯罪の被害者が一生のトラウマを負うような悲劇を減らしたい思いから、アンケートを基礎にした法務省の「犯罪被害実態(暗数)調査」に注目している。

 2019年の調査によると、5年以内に性犯罪に巻き込まれた人は全体の1%。生産年齢人口で計算すると、70万人が被害に遭っていたことになる。
 子どもや高齢者の被害者を含めると、100万人規模にもなるはずだ。

 性にまつわる犯罪は、これほど深刻な社会的課題なのだが被害届を出した申告率は14%。
 つまり、被害を申告できなかった人たちを含めると、現実には警察が把握した事件の7倍の被害が発生していた。

 小宮教授は、こうした犯罪の背景に、女性や子どもなどの社会的弱者に対する差別があることを指摘し、こう書いている。

自分のものさしを他人に押しつけることが差別なのだ」

 小宮教授の言葉を受けて、僕などは、差別するつもりがないまま差別的な言動を続けてきたのではないかと、考えてしまう。

 僕ら男たちは、公衆トイレ一つとっても平等ではない社会に不満を持つ女性に対して「よのなか、そういうもんだからガマンしなよ」と言ってこなかっただろうか?

 いや、そこまで言わなくても、「女性トイレの問題だから自分は関係ない」と関心を持ってこないまま、問題を放置してきたのではないか?

 自分にとって問題がない分野なら、その分野で問題に苦しんでる人の痛みに関心を持つことは難しいからだ。
 だから、自分自身の無関心に対する居直りを見つめておきたい。

 僕ら大人は、親や教師の言い分に納得できない子どもに対して「大人になればわかるよ」と言ってこなかっただろうか?

 そして、強い相手の言い分に対してガマンすることに慣れてしまい、黙って従うことしか子どもに教えず、聞き分けの良い子どもになることを強いてきたのではないか?

 自分に切実に困ったことがあっても、その解決に取り組もうともせず、ただただガマンするばかりで、「変化を求めない大人」になってしまったのではないか?

 女性社員に無理な接待をさせた疑惑で揺れているフジテレビの問題も、「変化を求めない大人」たちが牛耳る社会の終わりを予感させる。

 あなたにとって、本当は変えてみたい現実的な悩みとは何だろう?

 その悩みを解決するために、あなたは何をしただろうか?





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